ぐだぐだキューバ旅 〜食べ踊り喋り続けた日々〜

ガイドブックもネットもなし、19日間キューバをほっつき歩いたぐだぐだ日記

ハバナへ

そもそもなぜキューバなのか、最大の理由は社会主義国の生活を見てみたいという好奇心からだ。そしてキューバの歴史はドラマチックで興味が尽きない。好きな詩人、シンガーソングライターもいる。何年も前から惹かれていた。キューバへ向かう2ヶ月前、リスボンの宿でたまたま夜遅くまで話し込んだ旅行者から、キューバ情報を得た。彼女は数年前2週間キューバを旅したという。話を聞いてどうにも我慢できなくなり、ほとんど思いつきで出かけた。ネットが普及しておらず、他の国のようにスムーズに事が運ばないのも、むしろ魅力的に思えた。せっかくなので、ガイドブックは持って行かないことにした。自分の勘と言語能力だけに頼る旅も面白いに違いない、と。

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12/22

新千歳空港から成田に向かう。空港で早くも腕時計を無くす。ウェイティングエリアで一夜を明かす。畳スペースで横になれるが、寒くてあまり眠れない。夜明かし旅行者は、家族連れも含めて相当数いる。もう一晩はさすがに厳しいので、近くの安いホテルを予約する。日本を発つのは24日なのだ。

 

12/24

前泊したホテルはオープンしたばかりでピカピカだが、わざわざ付けた朝食は、ほぼご飯とインスタント味噌汁のみ。おかずも野菜もフルーツもなし。仕方がないので、空港で途中購入したジュースやスープを飲む。成田空港の待合エリアは本当に快適。

 

成田のアエロメヒコカウンターで発券してもらう際、英文保険証明書とツーリストカードの有無を確認される。この2つがないとキューバ入国はできない。ツーリストカードはメキシコで買うと伝えると、もし売り切れで入国できなくなったとしてもそれは自己責任だと、しつこく念を押される。ツーリストカードに関しては様々な情報が出ているが、ハバナ空港で20cucで買えるという情報もこちらに掲載されている。

Havana Airport HAV | Immigration/Customs

 

初めて乗るアエロメヒコ。たまたまこの日が機長さんにとって退職前のラストフライトだそうな。拍手が巻き起こり、メキシコシティ到着時には放水で祝っていた。機長さんお疲れ様です。機内でメキシコ入国カードを記入。

 

メキシコは乗り継ぎだけの場合でも、必ず入国手続きをする必要がある。機内でもしつこくアナウンスしていた。空港で6時間待ち。やることはあまりない。アエロメヒコのオフィスへ行き、キューバに行くんだけど、と言うと、ああ、ビザね、とすぐさま購入できた。メキシコペソのみしか使えないというので、カードで支払い。(帰国後確認すると、¥2.062だった)

 

メキシコは空港滞在だけなのに、昔1ヶ月旅した記憶が蘇り、店の雰囲気が懐かしい。5ドルだけ両替し、食べ、眠り、周囲をうろついて時間を潰し、キューバ行きに乗る。乗客は驚くほど日本人が多かった。機内で税関申告書を記入。

 

キューバ空港に到着すると、ツーリストカード以外は何も確認されず、すんなり入国。早速タクシーの客引きに声をかけられる。彼女に案内され、並ぶこともなく両替し(6万を約500cucに)彼女のお父さんの運転する無許可のタクシーに乗る。黄色い認可タクシーを使うよう言われていたが、価格もほとんど同じだったし、眠いし疲れたしで、もうどうでもいい気分になっていた。

 

地図を渡して場所を説明するが、カサの近辺で家が特定できず、そこらにいるキューバ人に片っ端から住所を尋ねていた。アナログ具合が可笑しくなる。結局私がmaps.me を見せ、右だの左だの指図しながらカサにたどり着く。少々迷ったが、思ったよりずっとスムーズに到着だ。

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2泊お世話になったハバナ郊外のカサ。到着したのはクリスマスイブの深夜。

 

Airbnbで予約していたので、深夜にも関わらずこれまたスムーズに通してもらい、年配のエンゾーとアナが迎えてくれる。到着早々、コーヒー飲むか、フルーツ食べるかと聞かれ、せっかくなので頂いていたら、食べ終わりもしないうちに、ピアノ弾きなよ、と言われ弾き始める。ここを予約するとき、ピアノがあるのを見て、弾いても構わないかと確認しておいたのだ。これは私の本業であり、3週間全く弾かずにいるのはさずがにまずいので、大変有り難い。

 

エンゾーはピアノを聴いてすごく喜んでくれ、娘に聴かせられないのが残念だとさかんに言う。タブレットで娘にテレビ電話をかけ、私の弾いているのを見せている。仲良し親子だ。私も娘のイリアナとテレビ電話で話し、彼女も何か要望があったらなんでもパパに言って、と言ってくれる。

とにかく親切な家族3人だ、何から何まで気遣ってくれる。朝ごはんと昼ごはんと夜ごはんはどうするかと聞かれ、たぶん昼まで寝てるから起きたら何か食べたいと伝えた。しかし昼どころではなかった。その後なんと16時間眠り続け、気づいたら25日の午後5時過ぎだった!

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ハバナのカサでピアノを弾かせてもらう。ガタガタだけどとっても有り難い。

 

12/25

家族に呆れられながら夕方に起き出し、夕食を頂く。ずっと食べてなかったんだからと大量に出してくれる。娘のイリアナとその旦那さんも家に来ており挨拶する。そういえば昨日の夜、私とイリアナはほとんど同じ歳だと分かり、偶然だねと盛り上がった。エンゾーにはスペインに住む、弁護士の娘もいるそうだ。(この時はまだ知らなかったが、家族が海外に住んでいるというキューバ人は本当に多かった)

 

今日もピアノ弾きなよと言われ、また好き放題弾かせてもらう。最後にイリアナが好きだという「エリーゼのために」を頼まれ、エンゾーがビデオに撮っていた。そして何に使うのか、ひたすら私の写真を撮りまくっていた。大学で専攻していたのは音楽?スペイン語?数学?と尋ねらる。最後の選択肢が謎だが、音楽と芸術を勉強して今はそれで仕事をしていると言うと納得していた。

 

夜、エンゾーがヨークシャーテリアのベトの散歩に行くというので、一緒について行く。ハバナの郊外、外は真っ暗だが人は結構歩いている。到着以来初めて外に出る。友人の家というところに勝手にあがり込むと、ああピアノを弾く日本人ね、と言われる。情報が凄まじく速い。コーヒーを飲むかと誘ってくれるが、明日早く起きないといけないので残念ながら断る。人の家に断りなしに入り、そこにいる人も実は家族ではない人が家族のような顔して座っていたりする、この辺りメキシコと全く同じだ。

 

朝食は何がいいかと聞かれるが、時差ボケがきついのでたくさんはいらないと伝える。コーヒーを飲むとバスの中で眠れなくなるからいらないと言うと、まだ眠いのかと笑われた。明日の朝は何としても7時半に起こして欲しいとしつっこくお願いして眠る。東回りの時差ボケはなかなか治らない。

ぐだぐだな1日終了。エンゾーが日本に戻る前日ハバナに泊まるならまたおいで、と誘ってくれた。

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結婚式やパーティーの会場としてもレンタルしているというパティオ。