ぐだぐだキューバ旅 〜食べ踊り喋り続けた日々〜

ガイドブックもネットもなし、19日間キューバをほっつき歩いたぐだぐだ日記

悪夢のトリニダー滞在 その2

12/31

9時に朝食を食べ、カサで自転車を借り(1日10cuc)Playa Ancon(プラヤ・アンコン)へ。メキシコなどと同じで、後輪ブレーキはペダルを逆に漕ぐとかかるタイプ。脱水症状にならぬよう1.5リットルの水を買っていく。午前中はまだ耐えられる暑さ。歩いてばかりいたので、自転車が快適。間違えようもないはずのシンプルな道を一度間違え、地元の人がビーチはあっちだよと教えてくれる。

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日陰は一切なし、Playa Anconへの道。街からビーチまでは12km。

広々とした平野の一本道、走っていて気持ちいい。そしてビーチに着くまでの方が、むしろ最高だった。

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トリニダーの街の騒々しさから逃れ、気持ちよく走る。

ビーチに到着し駐輪しようとしていると、どこからともなく人が現れ、こっちに停めろと言われ駐車料2cucを徴収される。おそらく車は無料、取れそうなところから取るのだ。その辺の柵に自転車を鍵で巻きつける。

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暑いので、ひたすら日陰で休む。

ビーチは賑わっているが泳いでいる人は少なく、日陰で休んでいる人ばかり。ビーチの先端まで砂浜を歩こうかと思ったが、あまりの暑さに途中で断念。ホテル前のビーチの日陰で休み、1時間半ほどうとうとする。不意にホテルのスタッフらしき人が、ビーチチェアでくつろぐ客達に、あなたの話すのは英語かスペイン語か、ここのホテルの客か、と尋ね回っているののが聞こえ目が覚めた。これはお金を取られるパターンだなと直感し、これ以上特にやることもないので、さっさとその場を離れた。

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3、4km続くプラヤ・アンコンのビーチ。

2時過ぎ、自転車を取りに行く。先程駐車料を徴収して来た人、今日の夜はサルサに行こうよと誘ってくる。さあどうかなと躱し、帰路につく。帰りは若干上り坂。片道12キロしかないのだが、強烈な太陽光のせいでぐったりだ。キューバの作曲家レイ・ゲーラのギター曲に“Sol de Diciembre”(12月の太陽)という曲がある。聴いた感じは、穏やかな日差しの下微睡む、といったイメージが思い浮かぶのだが、とんでもない。突き刺すような太陽だ。街中も走ってからカサに戻ると、すぐさまシャワーを浴びて身体を冷やす。

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トリニダーでも馬車が大活躍、馬が多い。

少し休憩してから、2018年最後の夜を楽しむためセントロへ向かう。呼び込みをしていた安いレストランに入る。なぜこんなに安いのかと尋ねると、ここは個人経営の店ではないからだという。海老料理を注文する。蜂蜜のカクテルというやつも注文してみるが、甘すぎるしアルコールが強すぎてとても飲みきれない。モヒートにしておけば良かった。

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料理は7cucほど。個人経営の店はもっと高いらしい。

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夜のトリニダーは雰囲気がある。

カサへ戻る途中、踊っているキューバ人に呼び止められ、一曲一緒に踊る。そこらにいる人みんなに新年おめでとうを言って別れる。妙な飲み物のせいで頭痛がし、今日はこれで充分だと思ってカサに戻るはずが、また別のキューバ人が話しかけて来る。喋っているうち、まだ早いし今日は特別な日だしもうちょっと遊ぼうと誘って来る。そう言えば年越しは踊るつもりだったなあと思い出し、今日だけは特別だと言って彼ロンベルトの自転車に乗せてもらい、あちこち寄り道してから、毎晩バンドの演奏がある、ライブミュージックの会場へ行く。

既に充分熱気に包まれているが、まだまだ序の口だった。バンドが入れ替わり、カウントダウンが迫ると最高潮に盛り上がる。最前列を陣取って3時間サルサを踊り続けた。カウントダウンは皆興奮し過ぎて、もはや誰が何を叫んでいるのかわからない。これは1人で来ても全然楽しかったな。

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バンドの最前列を陣取り、3時間踊り続ける。

ロンベルトというこの人、結構な曲者で、しつっこくひっきりなしに口説いて来る。トリニダーには日本の女性がたくさんいるはずだから、日本人が好きなら彼女を作るのを手伝ってあげると言ってやるが、何を言っても効き目がない。しかし生粋のトリニダーっ子で、どこにでも出入りのOKの顔の広さを持ち、バンドの歌詞の意味やトリニダーの歴史など教えてくれる部分は有り難い。

途中年明けを盛大に祝い、午前1時になるといい加減アドレナリンが切れ、一気に疲れが押し寄せる。そもそも今日は、24km漕いでビーチまで行っている。帰ろうとするとロンベルト強引に送ってくれる。もう十分だと言って別れるが、なんとずっと後をつけてきた。心底腹が立ち、何でここにいるんだ、帰れ、付いてくるなと追い払う。キューバ人男の印象が一気に悪くなる。

トリニダーも治安の悪さは感じず、暗い中人々が遅くまで路上で遊んでいた。午前2時近くでも、一人歩きができる街だった。

 

1/1

10時過ぎまで寝ていたら、タニアがロンベルトが来てるよと呼ぶ。やはりあの後カサの真ん前まで付けて来たのだ。めんどくさいなあと思いながら出て行くと、今日パーティーがあるから行こうよ、ビーチに行こうよと誘ってくる。今日はやることがあるし、行きたくもないし、と無愛想に返事をして帰ってもらう。念のためホストのロベルトに、あの人は昨日散々断ったのにまだ誘って来るしつこい人なのだ、と言っておく。

 

朝食をぐだぐだ食べて、迷いながらViazul まで予約に行く。踊り過ぎで足が痛い。残念ながら明日のプラヤ・ヒロン行きは空きがないという。サンタクララも聞いたが、明日はどこも満席だそうな。明後日ならあるというので、1/3のプラヤヒロン行きを予約する、予約と言ってもメモ帳みたいなところに名前を書くだけ。こんなんで大丈夫なのか。あとは当日ここに来て、その時支払えばいいという。

居たくもない街で足止め、無計画旅行が裏目に出る。トリニダーに5泊するくらいならシエンフエゴスに4泊すれば良かった。この街は色々と騒々しい、もうお腹いっぱいだ。

博物館で涼もうかと思ったが、今日は開いていないのでそのままカサに戻る。4日もこの街にいるのに散々迷う。

 

タニアに、明日のバスに空席がなくもう1日トリニダーに泊まらざるを得ないと伝え、カサを見つけるのを手伝ってもらう。彼女の姉妹がやっているカサに泊まれるそうで、早速彼女の家族一同がカサにやって来る。彼女の姉妹、夫、姪など総勢10人くらい。キューバの家族は大きいのよ、と言う。彼女の姪にあたる8歳のヘレンと仲良くなる。2人でタブレットをいじくりながら、地図で国の説明をしたり、セルフィーを撮ったり、ビデオを見たり、ゲームをしたり。くたびれながら観光するより、こういう時間の方が楽しいな。最後はもっと一緒に居たいと帰るのを嫌がっていたが、明日また会えるからと母親に言われ皆と帰って行った。彼女は素敵なドレスを着て、髪型もとってもチャーミング。

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トリニダーでは食欲がなくなり、野菜とフルーツだけにしてもらう。

食事はフルーツとサラダだけにしてもらう。美味しいデザートも出してくれた。同宿のアルゼンチンのカップルとタニアが、日本は資本主義か社会主義か、マクドナルドはあるか、子供はどのくらい産むか、子供が少ないのは中国の一人っ子政策みたいに法律があるからなのか、などと聞いてくるので説明するが、もっとスペイン語が堪能なら皮肉を込めて面白く答えてやれるのにと悔やまれる。夕食中、ロンベルトが来ているよと言われ、また追い払う。トリニダー滞在中に、かなり疲れて来ているのが自分でもわかる。

 

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9時頃朝食を食べ(途中ロンベルトにまた邪魔され追い払う)、タニアの姉妹がやっているカサに連れて行ってもらう。キューバの家族は本当に大きくて、兄弟姉妹、叔父叔母、祖父母、甥姪、いとこなどが次から次へと登場し、もはや誰と誰がどういう関係なのか覚えられない。

着くと昨日一緒に遊んだヘレンが来ていたので、早速また遊び始める。他の家族も加わって、4人でドミノを始める。日本ではやったことがないがシンプルなのですぐ楽しめる。もはや観光でもなんでもない、ただのぐだぐだタイムだ。ゲームの後は、ヘレンとドミノ倒しをやったり、ドミノを積み上げタワーを作ったりして盛り上がる。何度目かの挑戦の後全てのドミノを積み上げることに成功し、ヘレンと記念セルフィー。

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暑さにくたびれ家の中で遊ぶ。このドミノタワーは結構な高さまで積み上げてある。

その後ヘレンが昼食タイムで近所の自分の家に戻ったので、また博物館へ行き、1cuc払って塔のてっぺんから街を見物する。この街は上から見ている方が全然いいのだ。ただ眺めているのが一番いい。

博物館の前の公園でまた音楽をやっているので少し聴いてから、迷いながら新しいカサに戻る。ヘレンが待っており、迎えに来たヘレンの両親と一緒に再びドミノを始める。日本ではやらないからなあ。その間にもまた別の家族が訪ねて来て挨拶。本当にひっきりなしに、あらゆる繋がりの家族がやって来る。まだ1歳の女の子から70代くらいのおばあちゃんまで。

 

夕食を頂くがあんまり美味しくない。そして食べている途中から片付けられるので、落ち着かない。アイスクリームを頂き部屋に引き上げる。大して何もしてないのに疲れる。ここのカサは食事は少なく不味いのに結構高かった。部屋15cuc、食事2食が12cuc。私はベジタリアンなので野菜とパンしか食べていない。

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トリニダーの5泊目の宿。ひたすら騒々しかった。

1/3

早く寝たのに相変わらず9時まで起きられない。交通が激しい通りなので、車の音で目覚める。朝食を頂くが、オムレツ以外やはりそれ程美味しくない。これまでのカサの食事がすべて美味しかったせいか、少しがっかりする。バスの時間まで、2階の部屋の前のテラスから、通りを歩く人々を見てのんびりする。とにかく動き回るときついので、ただ眺めているのが一番。

 

Viazul に行きチケットをもらう。紙に名前を書いただけなのに、ちゃんと予約されていたのが驚きだ。さすがアナログキューバ。プラヤ・ヒロンまでは12cuc。

途中まで2人席を独り占めして足を伸ばし休む。やっとトリニダーから脱出できた。もうここを訪れることはあるまい。